オニパンカフェ

- 究極の「自家製のパン」を求めて
塚原の自然と人と人が育むパンづくり - むかしむかし、塚原高原には、人と一緒に仲良く暮らす鬼がおった、とな。そんな民話から名付けられた「オニパンカフェ」。そこにはたくさんの人を笑顔にするパンづくりの先生がいました。
雄大な由布岳のふもと、由布岳スマートインターチェンジから一般道に降りると、もう、そこは森のなか。
新緑の木立ちが由布岳から吹き降ろす風にそよぎ、まちなかの喧騒を忘れてひととき、ふと、自然のなかに溶けこむような気持ちになるのが、ここ、塚原高原です。
くねくねと森の中の道を走ったあと、一本道のなかほどに、こぢんまりとしたパン屋さんが佇んでいます。
オープン前から、駐車場には多くのお客様の車が並んでいます。お店の中にはたくさんのできたてパン。そして棚にきれいに勢ぞろいする食パンたち。
ここ、「オニパンカフェ」のマスター、日浦晃英さんにお話を伺いました。
小麦から作ろう。究極の「自家製」食パンへの挑戦。
オニパンカフェでは、パンづくりにおいて「自家製」に徹底的にこだわっています。当初からこだわっている自家製酵母づくり。そして、もう一つが塚原高原での小麦づくり。小麦は、パンの味を左右するとても大事な素材です。一般的にパンづくりは、海外産の強力粉が主流でしたが、今では国産小麦も海外産に劣らない品種が登場し、オニパンカフェでも国産小麦を主に使用しています。現在、その小麦を塚原高原で作ろうと挑戦をしています。
「小麦づくりを始めたのは、外部の素材に依存するのではなく、自分たちで育てた小麦でパンを作りたかったからです。専業農家ではないから、やっぱり両立は大変ですね。最近は、鹿対策がなんとかできたものの、今度は兎にやられました。」
さらに近年の異常気象も加わり、なかなか思うように小麦づくりは進まないと言います。それでも自家栽培を続けることで、「自家製」への挑戦を続けています。
「〇〇さんのために」から生まれた超こだわり食パン。
オニパンカフェの商品のなかで、マスターが特におすすめするのはこだわりぬいた「食パン」。“やっぱり食パンは主食だから”と日浦さんは言います。
その中でも特別な思いをもって作られたのが「玄米食パン」。国産小麦粉をベースに焙煎玄米や雑穀、クルミをたっぷりと使用したこの食パンは、しっとり、なめらかなパン肌に、もっちりとした噛み応え。そのまま食べても香ばしく、甘い香りが広がります。これは食事制限のある、糖尿病の方の願いを受けて日浦さんが開発したこだわりの食パン。健康に気を使う人にとって理想的な一品として仕上がりました。誰もが食べたいものを安心して食べられるようにとの思いが込められています。
新たな挑戦~自家製にこだわった究極メニュー「ワインの友セット」
ふるさと納税で提供している「ワインの友セット」。このセットは、自家製にこだわったメニューを組み合わせた究極のセットメニューです。この商品も、ワイン好きなお客様の「ワインに合うメニューを作ってよ~」というひとことから誕生しました。このセットには、オニパンカフェで燻製にされた大分県産豚肉の自家製ベーコンが特別にセットになっています。あまり聞き慣れないパンの名前も、ワインに合うパンをこだわり抜いた組み合わせ。
「一人でもいいし、みんなで食べてもいいし、色々な過ごし方でパンとワインを味わってほしいんです」
パンづくりは「仮説実験授業」!
パンづくり一筋の日浦さん。けれどもパン職人になる前は、小学校の先生だったそう!教員時代から、パンが大好きで、小学校でもパン教室を開くほど。そして日浦さんが特に思い出に残っているというのは「仮説実験授業」。子どもたちと仮説をつくり実験を繰り返し、仮説どおりに進むかを実験し、「できた!」「できなかった!」を一緒になって、喜んだり、悔しがったり、考えたり・・・
そして今、日々酵母に向き合い、パンを作るようになり、試行錯誤を繰り返す中で、ふと「パンづくり」はあの時の「仮説実験授業」なんだ!と気づいたそうです。
「パンづくりって、本当に実験の連続。だからとっても面白い。物事も考えようで、ちゃんと自分のなかに課題を設定して、どうしたらそれができるか、毎日実験している。だから、毎日発見がある。だから飽きるということがないんです。」
これからは、若い人たちが夢を持って生きられるような仕事になったらいいな、パン屋っていい仕事だね、と言ってもらえるような挑戦をしていきたい、自分は、今も変わらず「先生」なんだ、と話す日浦さん。
私たちが取材に伺ったその日の朝、新しい酵母づくりに成功したとのことで、「とても気分が良い!」と上機嫌の笑顔でした。
小学校の教師時代、子どもたちと一緒に仮説実験授業で夢中になっていた日々を、今は塚原高原の自然のなかで、若いスタッフの方々と生きている酵母たちと共に、今日も究極の「自家製」パンを求めて実験を繰り返しています。
生産者名 | オニパンカフェ |
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所在地 | 大分県由布市湯布院町塚原135-142 |
主な生産品 | 天然酵母パン |
HP・SNS | https://onipain.com/ |